イベント詳細
2018.12.23
【講演会】ソーシャルワーカーを目指すあなた達に伝えたいこと
※イベントは終了いたしました
ハンセン病療養所で働く講師が、ソーシャルワーカーを志した理由、仕事のやりがい、入所者が抱える困難などについて、お話してくださいます。
入所者の方の100歳のお誕生日 |
入所者の方とのお部屋でのおはなし |
里帰り |
会議の様子 |
開催概要
【講師】
坂手 悦子 氏(国立療養所邑久光明園福祉課ソーシャルワーカー)
【日時】
2018(平成30)年12月22日(土)
【開園】
14時(開場は13時30分)
【場所】
国立ハンセン病資料館 映像ホール
【定員】
先着130名
入場無料/事前申込不要
講演会「ソーシャルワーカーを目指すあなた達に伝えたいこと」開催報告
2018年12月22日(土)、講演会「ソーシャルワーカーを目指すあなた達に伝えたいこと」を開催しました。講師には、ソーシャルワーカーとして国立療養所邑久光明園に勤務する坂手悦子さんをお招きしました。坂手さんは、ご自身のハンセン病問題との出会い、ソーシャルワーカーを志した理由とその目標を実現するまでの道のり、日々の業務の内容などについて、約1時間にわたってお話ししてくださいました。
そのなかで特に印象に残ったのは、入所者とその家族との関係についてのお話でした。ハンセン病療養所のソーシャルワーカーは、入所者が亡くなったときの連絡など、家族との連絡・調整の業務を担っています。入所者と家族の関係は様々ですが、坂手さんによれば、今なお身内からハンセン病患者が出たことを、そのことを知らない家族や世間に知られることを恐れ、ひた隠しにしているケースが多いということです。もちろん、その理由はハンセン病に対する偏見・差別が根強く生き続けているからであり、そのことを改めて思い知らされました。
また、講演の最後に、ソーシャルワーカーに必要な視点として、「木を見て森も見る」という比喩を用いて説明されていたことも印象的でした。「木」とはソーシャルワーカーが寄り添う一人ひとりの状況、「森」とは政治や社会のありようを含めた困難を抱える人びとを取り巻く大きな枠組みのことです。その両方を視野におさめながら困難を抱える人びとに寄り添うことが、ソーシャルワーカーには求められるとのことです。ソーシャルワーカーという職業に対する、坂手さんのプライドと哲学を垣間見た気がしました。
会場には、約70名のお客様にお集まりいただきました。若い方向けの講演会として企画したということもあり、弊館のほかのイベントと比較して、若いお客様のご来場が目立ちました。
年の瀬のお忙しい時期にお集まりいただきましたお客様、大変貴重なご講演をしていただきました坂手さんに、心より御礼申し上げます。
お客様からいただきましたご意見やご感想を紹介させていただきます。
- 自分が今まで知らなかったソーシャルワーカーの仕事を知ることができ、とても良い学びになった。内容が現場、現状をしっている坂手さんだからこそ話せるリアルなもので、自分はどうだろうとみつめることができた。差別や偏見を自分の中で感じた経験は私もしていたので、どのように関わって(福祉に)どのようにケアや支援を見つめているのかなんとなく感じることができた。今後、自分はどうなるのか、このイベントに参加した後、もっと考えることができると思った。
- ソーシャルワーカーを目指していますが、ハンセン病について特に強い関心があったわけではありませんでした。しかし、「尊厳をもって生きていくこと」を支える、人権を尊重しながらアプローチすることは、福祉・医療の現場で最も大切なことだと思いました。木を見る視点、森を見る視点は患者さん、利用者さんと関わる中で、対象者が誰であっても共通するものだと思いました。
- とても有意義な時間を過ごすことができました。ハンセン病が身体的なものだけでなく、精神的にも社会的にもご本人と周囲の方をむしばんでいった過去があり、今も続くことに驚き苦しくなりました。
- 坂手さんを通して、療養所の方の声を聞くことが出来、家族や社会について考える機会を頂きました。人権や法についてアンテナをはる必要があり、ミクロだけでなくメゾ・マクロまで見据えていくべきであると感じました。通常の業務とは違ったソーシャルワーカーの業務を知ることが出来ました。最後に関することが多いのですね。
- ハンセン病との出会いから今日に至るまでの経緯を具体的に事例も含めて分かり易く語って下さいました。初めてハンセン病問題に触れた人達にも深い理解を得たと貴重なお話を聴くことができました。
- 個々のお話がどれも深く、エピソードがすべて坂手さんの人柄を通してダイレクトに伝わってきました。「木を見て森を見る」はどんな社会問題でも必要な視点だと思いました。
- 未だに世の中にハンセン病に対する偏見・差別が存在すること自体が信じられません。差別する人はハンセン病に無知なのでしょう。そういう意味ではハンセン病資料館の意義は大きいと思います。偏見・差別が早く是正されることを願うばかりです。ハンセン病患者の方に寄り添うソーシャルワーカーという仕事は大変立派で素晴らしいことを再認識しました。
今後も、多くの方にご参加いただける企画を考えていきたいと思いますので、宜しくお願い致します。
国立ハンセン病資料館事業部事業課 学芸員 大髙俊一郎
開会のご挨拶 (司会進行:大高学芸員) |
講師のご挨拶 (坂手悦子氏) |
講演の様子 (坂手悦子氏) |
講演の様子 (坂手悦子氏) |
質疑応答の様子 |
質疑応答の様子 |
質疑応答の様子 |
質疑応答の様子 |
質疑応答の様子 |
閉会のご挨拶 (大高学芸員) |