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2024.04.04

ハンセン病問題に係る全国的な意識調査報告を受けて

厚生労働省が設置した検討会は、ハンセン病への差別や偏見の実態を把握するため、一般の人を対象に初めて全国的な意識調査を行いました。20916人の回答を有効回答として集計・分析された調査結果は「ハンセン病問題に係る全国的な意識調査報告書」にまとめられました。この4月3日(水)に解禁され、各マスメディアで大きく取り上げられています。
報告書によると、2割近くの人が身体に触れることに抵抗を感じると答えたほか、元患者の家族と自分の家族が結婚することに抵抗を感じると答えた人も2割以上にのぼったとされます。「ハンセン病への偏見差別は現存し、依然として深刻な状況にあることがうかがえた」と結論づけられています。
学校の授業などハンセン病問題の学習を受けた経験について質問したところ、「受けたことはない」が55.4%、「はっきりと覚えていない」が27.1%です。国の啓発活動を受けた経験では、厚労省作成のパンフレットが4.1%、法務省主催のシンポジウムが1.2%、国立資料館や療養所の資料館などの展示が4.8%にとどまり、「国の人権教育・啓発活動は市民にほとんど届いていない可能性がある」と指摘されています。
クロス集計によると、学習や啓発活動を受けた人ほど、元患者や家族に抵抗感を抱いたり、ハンセン病問題に関する誤った考え方を支持したりする傾向にあるとされています。また、年代別で比較したところ、中年層と比べて若年層や高齢層で、元患者や家族に抵抗感を抱いたり、ハンセン病問題に関する誤った考え方を支持したりする傾向にあったとされます。
報告書は「多面的な検証を早急に行う必要がある」と指摘しています。当国立ハンセン病資料館では、その事業についてPDCA評価方式を導入しているところですが、このような調査結果を真摯に受け止め、より実効性のある普及啓発活動に一層努めていきたいと存じております。宜しくお願い申し上げます。

国立ハンセン病資料館 館長 内田博文