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トップ イベント情報 イベント一覧 【開催のご案内】ミュージアムトーク2024/特集 ハンセン病療養所の女性たち ― 1冊の本をめぐって

2024.12.14

【開催のご案内】
ミュージアムトーク2024/特集 ハンセン病療養所の女性たち―1冊の本をめぐって
※手話通訳付き

ミュージアムトーク2024「ハンセン病療養所の女性たち - 1冊の本をめぐって」修正版

ハンセン病患者・回復者の女性たちは隔離政策下の療養所でどのように生きてきたのでしょうか。今回のミュージアムトークは、ハンセン病療養所の女性たち自身が書いた書籍等をとりあげ、これまでのハンセン病療養所の歴史叙述の中では登場する機会が少なかった女性たちの生に迫ります。

 

第5回 参加者受付中
「再起する女性像 ― 藤本とし『地面の底がぬけたんです』」

 

【講師】 吉國元(よしくにもと 当館学芸員) 
【日時】 2025年1月18日(土)14時 から 15時

藤本とし(1901 – 1987):民間の病院へ入院(のちに通院)、身延深敬園への入園の後、 大阪の外島保養院(1934年の第一室戸台風の被災により、1938年に岡山県の邑久光明園として再建)に入所しました。詩や随筆など、旺盛な執筆活動を行った女性として知られています。本講座では、著書『地面の底がぬけたんです』(思想の科学社、1974)をとりあげ全盲で手足に重い障害があった女性がどのように絶望から再起し、自らの身体で生き抜く術を獲得していったのかについてお話しします。


【お申込み】 こちらから事前申し込みを受け付けております。
※定員に達し次第受付を締め切らせていただきますが、場合によっては受付終了の表示が遅れることをご了承ください。

 

第1回 ※講師の体調不良により中止
「抗い、生き、歌ったハンセン病療養所の女性たち ― 『訴歌』を読む」

 

【講師】 阿部正子(あべまさこ 『訴歌』編者)
【日時】 2024年8月31日(土)14時 から 15時
【定員】 事前申込制 定員130人(申込先着順)

 

第2回 終了しました
「いのちの痕跡を残す ― 津田せつ子『曼珠沙華』」 当日の記録をYouTubeでご覧いただけます。

 

津田せつ子(1916 – 2003):17 歳の時、第一区府県立全生病院(現 多磨全生園、東京都)へ入所。兄を介して同園の作家である北條民雄と親交を持つ。23 歳の時園内で結婚。婦人会や教会の活動に取り組むと共に、「百合舎」の寮母として少女たちの療養生活と社会復帰を支えました。本講座では、津田の随筆集『曼珠沙華』(私家版、1981 年 ※1982 年に日本基督教団出版局より再出版)をとりあげ、女性への抑圧や患者への差別に厳しく対峙しつつ、人を深く慈しんで生きた姿をたどります。



開催報告

講師 西浦直子 (にしうらなおこ 当館学芸員)



第2回は、多磨全生園入所者の津田せつ子の著作を読み解き、津田の婦人会での活動、園内の少女舎の寮母としての経験、また津田が担った・担わされたケア(看護/こどもの養育)の意義を検討しました。当日参加は会場70人。講演会の記録は当館のYouTubeチャンネルで公開しています。ぜひご覧ください。


 

アンケートより

  • 抑圧のあらわれ方の多重性、流動性について考えさせられるトークでした。ケアする、ケアされる関係の問題も関連しているような気がしますがもう少し考え続けたいです。
  • 非常に細かく読まれていて、自分でも読んでみたくなりました。看護についても、お互いの交流を書き記し、生きる立場で貫いた覚悟を知ることができたように思います。
  • 「いのちの痕跡を残す」の「いのち」というものが、ひとり津田せつ子さんのものだけでなく、夫や他者への看護・ケアを通じて形づくられたものであることへのイメージを持つことが出来ました。
  • 津田せつ子さんという一人の方の人生を通じて、同じ時を生きた人々の人生というか「いのち」にも出会えたように思いました
  • とても勉強になりました。ハンセン病療養所内でも、決して一括りにできない一人一人の困難、人生があったことを知りました。
  • お話の仕方が聴き手にちょうど良くて、頭に入りやすく、時間があっというまでした。 病を抱えながら女性がどのように生きてきたのか、理解が深まりました。

 

第3回 終了しました
「闘った女性の本と証言 ― 上野正子『人間回復の瞬間(とき)』」

 

【講師】 田代学 (たしろまなぶ 当館学芸員)
【日時】 2024年11月23日(土)14時 から 15時

上野正子(1927-):沖縄県石垣島の生まれ。1940 年に星塚敬愛園(鹿児島県)に入所。1946 年に結婚しますが、夫が断種手術を受けていたことに強い衝撃を受けます。1998 年「「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟」では最初の原告になります。著書『人間回復の瞬間(とき)』(南方新社、2009)にはハンセン病国賠訴訟や、家族との交流、そして療養所のなかで出会った女性についても記されています。当館所蔵の証言映像も手がかりにしながら、上野が受けた被害や差別、それらに対する闘いについて考えます。


 

第4回 終了しました
「内側から広がる言葉 ― 塔 和子『記憶の川で』」

 

【講師】 長谷川秋菜 (はせがわあきな 当館図書室司書)
【日時】 2024年12月14日(土)14時 から 15時

塔和子(1929 – 2013):13 歳で大島青松園(香川県)に入所した塔は、歌人である夫の影響で詩作をはじめ、 69 歳のときに高見順賞を受賞しました。最も多くの単行本を出版した回復者のひとりであり、その詩は広く一般に知られています。本講座では受賞作『記憶の川で』(編集工房ノア、1998)を用い、塔の詩の評価を問い直すとともに、ともすれば「内向き」と評価されがちな詩が、人々の共感を生み、広がっていくさまについて、生殖やルッキズムの観点などを交えてお話しします。


 

≪お問い合わせ≫
国立ハンセン病資料館 ミュージアムトーク担当
mail:mt@nhdm.jp
※休館日およびイベント当日12時以降はご対応できません。事前にお問い合わせください。