群馬県吾妻郡草津町草津白根464-1533 (入館無料)
出土遺物 (南京錠、眼鏡、お椀)
平成25年に特別病室(重監房)の残された基礎部分の発掘調査が行われ、複数の貴重な遺物が出土しました。
出土したいくつもの南京錠は、過酷な監禁施設であったことを今に伝えています。
証言どおり木製の欠けたお椀も出土しました。このお椀に僅かな白湯などを与えられたといいます。
かつて収容者が愛用していたと思われる眼鏡は、視力の弱い人にとって自分の眼のように大切な物であるにもかかわらず、退室時に本人に戻されることなく、永い間人知れず土中に捨て置かれていました。
「病気を忌む。」という言葉があります。これは、病気そのものを嫌うことで「病気を患った人を嫌う」ことではありません。しかしハンセン病を患った人々は、世間からまるで「その人が病気そのもの」であるかのように忌み嫌われてしまいました。人と病気を混同する誤った認識があったのです。
「人が人を大切に思う心」があれば、この眼鏡は土に埋もれることなく、持ち主の元へ戻ったに違いありません。人を人と思わない悲劇が再び繰り返されないように、残された負の遺産を後世に伝え、人の命の大切さと人権尊重の精神を語り継ぐことが大事なのではないでしょうか。