この度は、重監房資料館ホームページをご訪問いただきまして有難うございます。
かつて、日本には「特別病室」と呼ばれる建物がありました。1938年(昭和13年)から1947年(昭和22年)まで運用されていたこの特別病室は、群馬県の草津町にある国立のハンセン病療養所、栗生楽泉園の敷地内にありました。
しかし病室とは名ばかりで、その実態はハンセン病患者を対象とした懲罰施設であったと言われています。当時全国のハンセン病療養所長には懲戒検束権という患者を処罰できる権限が与えられていました。正式な裁判によらず入室と称して収監されたハンセン病患者達には1日2回、わずかな麦飯や具の無い味噌汁などが与えられ、電燈も暖房もない四畳半ほどの板張りの監禁室に閉じ込められていたと伝えられています。
戦後すぐに行われた国会の調査などでそのあまりの過酷さが明るみに出て社会に衝撃を与え、この特別病室は通称「重監房」と呼ばれるようになりました。現在、この建物は取り壊されて基礎部分だけがうっそうとした森の中に静かに残されています。
当館は、ハンセン病隔離政策を象徴する建物であった特別病室(重監房)を負の遺産として後世に伝え、人権尊重の意識向上に役立つ教訓とするため、平成26年4月30日に厚生労働省が設置した国立の資料館です。
館内には、僅かに残された資料や発掘調査によって得られた出土遺物、当時を知る入所者の方々の証言などに基づいて、特別病室(重監房)の構造や内部の様子を実寸大で再現した建物の一部や発掘調査で出土した遺物を見学できるコーナー、証言映像の視聴ブース、ハンセン病問題に関する講義・講演や研修を行うためのレクチャー室などがあります。
当館スタッフ一同は、当時のハンセン病に対する社会の認識や、入室と称して収監された人々の房内での様子などを再現したガイダンス映像、発掘調査によって得られた出土遺物などの展示資料を見学していただくことで、ハンセン病をめぐる差別や偏見の歴史を学び、再びこのような人権侵害を起こさないために今の私達に何ができるのか、いわゆるハンセン病問題をご存じの方も、そうでない方も、共にお考え頂だける拠点施設と成り得るよう、日々精進してまいりたいと存じます。
また、残された特別病室(重監房)の遺構(基礎部分)を保存・管理するとともに調査・研究を行い、貴重な資料を後世に伝える努力を続けてまいります。
皆様のご来館を心よりお待ち申し上げます。重ねて本日は当館ホームページをご覧いただきまして誠に有難うございました。
重監房資料館