イベント詳細
2021.12.18
オンラインミュージアムトーク2022(第1回オンライン開催)
※イベントは終了いたしました。
美粧院を立ち上げた愛楽園の婦人会 当日の記録をYouTubeでご覧いただけます。
講師 鈴木陽子 (すずき ようこ 沖縄愛楽園交流会館学芸員)
1938年の開園以来、愛楽園の女性たちは表だった意思表示を控えてきました。1950年前後、愛楽園の文芸作品は新たな沖縄文壇に登場し、園の女性たちも歌や俳句の会で男性たちと並び立ちました。そのような中で女性たちは婦人会を結成し、美粧院を立ち上げました。隔離政策下の戦後の愛楽園自治の中で、女性たちがどのように美粧院を手に入れ、経営したのかをたどります。
開催概要
2022年2月19日(土)14時 から 15時30分(予定)zoom配信
事前申し込み制 : 定員100人(申込先着順)
参加申し込み受付期間 : 2021年12月18日(土)のトーク終了時から2022年2月19日(土)12時まで(定員に達し次第締め切ります)
当日の受付開始時間 : 13時45分
ミュージアムトーク2021-2022の告知PDFはこちら
美粧院を立ち上げた愛楽園の婦人会 開催報告
講師:鈴木陽子(すずき ようこ 沖縄愛楽園交流会館学芸員)
2022年の初回となるオンラインミュージアムトークは、沖縄愛楽園で1950年に結成された婦人会の活動とその意義についての報告となりました。
婦人会の成果のひとつが療養所内に美粧院を設置したことです。これによって女性たちは、美しく装いたいという願いを実現しますが、同時に園と自治組織の男性たちにとっては、それまで療養所の外へパーマをかけるために「無断外出」や「逃走」をした彼女たちを「統率」することも目的にありました。
本講演では豊富な資料を紹介しながら、軍政府公衆衛生福祉部長スコアブランドによる愛楽園への支援、自治組織「共愛会」との交渉、作家であり沖縄で初めての美容師であった新垣美登子との繋がり等、療養所内外の他の組織との関係についてもお話し、療養所で生きた女性たちの歩みを紹介しました。
参加者からは多くの質問とご感想をいただきました。追って当館YouTubeチャンネルからアーカイブ動画をご用意いたします。
アンケートでいただいたご意見等を活かし、今後もハンセン病問題についてさまざまな切り口からトークをお届けして参ります。
アンケートより
- 今日のお話を伺って、パーマをかけたい、おしゃれをしたい、厳しい環境に置かれながらも、私と何も変わらない気持ちでそこに暮らしていたみなさんをリアルに思い浮かべることができました。貴重なお話をありがとうございました。
- あまり取り上げられることのないテーマを、豊富な資料を用いてお話しいただき大変学ばせていただきました。ハンセン病問題における女性の活動や、自治のあり方、文芸活動のあり方など、従来の見方を大幅に考え直す余地があるのではないかとさえ思える発表内容でした。このような企画を今後も期待しています。
- 一度愛楽園にも見学に行って強い感銘を受けて以来、関心を持っているので、こうして東京から愛楽園のことを知り、触れる機会を作ってくださり嬉しいです。内容も興味深く、当時の婦人会の自治への熱意や、アメリカ、日本、そして社会、ジェンダー…彼女たちの何重にも課せられた差別への抵抗意識、息遣いが直に伝わってくるかのようでした。 とりわけ印象深かったのは美粧院が婦人会(特に乙女会の方々?)という、おそらく比較的健康だったがために所内でも「ケアラー」を担わなければならなかった存在が「セルフケア」として「パーマ」を求め、園内の自治を動かしたり、園外へ出て行ったりしていた、自由を求めて動いていたということです。
- 愛楽園という場所が、沖縄島の社会では“隔離”された世界であることを改めて思い知らされたと同時に、大城立裕さんや新垣美登子さんなど沖縄を代表する作家さんや、那覇の有名な美粧院とのつながりが愛楽園での生活の一部を形作っていた事実を教えてくれた今日の報告は、過去を掘り起こす重要さと共に個人としてどう生きていくかを問われた気がします。
…ほか多数のご回答をいただいております。ありがとうございました。
開催の様子
≪お問い合わせ≫
国立ハンセン病資料館 ミュージアムトーク担当 mt@nhdm.jp